シールド管路耐震検討ソフト質問集

  ■耐震計算について

  スチールセグメントの管軸方向の耐震検討時において、セグメント圧縮応力度がOUTとなる場合の対応策は?
  管軸方向の耐震検討時において、継手部の発生応力度がレベル2よりもレベル1の方が大きくなるのは何故か?
  鉛直断面の耐震検討時において、常時荷重として上載荷重は考慮しなくてよいのですか?
  鉛直断面の耐震検討時において、周面せん断力は考慮しなくてよいのですか?
  レベル1またはレベル2地震動を想定する場合、それぞれ継手板モデルはどのモデルで計算するのですか?
  レベル1地震動を想定時には応力OUTとなるが、レベル2地震動想定時にOKとなる場合は、耐震性能を満足していると判断してよいか?
  鉛直断面の耐震検討時において、地盤バネが引張に作用する節点のバネを解除しなくてよいのでしょうか?
  セグメントが基盤層内にある場合はどうすればよいのですか?
  表層地盤が均一な路線について耐震検討を行う場合、どの地点で検討すればよいですか?
  レベル1地震動を想定して検討を行う場合に、鋼材の許容応力度は1.5倍の割増を考慮するべきなのですか?それとも鋼材の降伏点とするべきなのですか?
  軸方向断面力の補正で、下水道協会耐震計算例による補正とはどのような補正なのですか?
  軸方向断面力の補正で、土木学会による補正とはどのような補正なのですか?
  フレームモデルで鉛直断面の解析を行った場合に、せん断力はギザギザにならないのですか?
  ■入力について

  常時計算から耐震計算を行った場合、セグメントの深度や条件を変更するにはどうすればよいのでしょうか?



 
■スチールセグメントの管軸方向の耐震検討時において、セグメント圧縮応力度がOUTとなる場合の対応策は?

スチールセグメントの場合、表層地盤条件にもよりますが、基盤層までの深さが30m程度より深くなると、セグメント軸圧縮方向でOUTとなるケースがでてきます。この場合、セグメント部材厚を変更して軸圧縮力に対抗しようとしても効果があまりありません。部材を厚くすることでセグメント軸圧縮剛性が大きくなり、このことによりセグメントに作用する軸圧縮力も大きくなるからです。
対応策としては、断面力の補正係数を見ない、表層地盤や基盤層のせん断弾性波速度をN値からの推定としている場合はPS検層値を優先させる等の方法によりセグメントの軸圧縮応力度を低減させることができますが、どのように考えるかは、設計者が判断する必要があります。


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■管軸方向の耐震検討時において、継手部の発生応力度がレベル2よりもレベル1の方が大きくなるのは何故か?

レベル1、レベル2それぞれの継手板モデルの違いによるものです。下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)では継手板のモデル設定をレベル1想定時は両端固定梁モデルとし、レベル2想定時は両端塑性ヒンジモデルとしています。継手板を両端塑性ヒンジとして評価すると、セグメントの等価引張剛性は両端固定梁モデルで評価する場合に比べ小さくなります。すなわち、引張側にバネとして機能しやすくなり、耐震計算上有利となります。
この他に、耐震計算例で使用されている管軸引張方向の断面力補正係数も大きな要因となります。この補正係数はセグメントの圧縮剛性と引張剛性の剛性比に大きく支配されていますから、引張剛性が小さくなる両端塑性ヒンジモデルは両端固定モデルより補正係数が小さい値となり、セグメントに作用する軸引張力が小さくなります。


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■鉛直断面の耐震検討時において、常時荷重として上載荷重は考慮しなくてよいのですか?

常時計算時に活荷重或は施工時荷重として考慮した上載荷重は考慮しませんが、死荷重として考慮した上載荷重は考慮します。但し、盛土等の場合は表層厚として考慮する場合もあるので注意が必要です。

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■鉛直断面の耐震検討時において、周面せん断力は考慮しなくてよいのですか?

下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)の鉛直断面解析モデルは、『地盤と構造物は常に一体となって挙動し剥離もしない』と仮定されています。よって、地震力を地盤バネとして両側から載荷するモデルで解析する場合は周面せん断力を考慮しません。

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■レベル1またはレベル2地震動を想定する場合、それぞれ継手板モデルはどのモデルで計算するのですか?

継手板のバネ値は梁モデルとして算定します。各自治体の指針等では、レベル1想定時は、片持梁(スチールセグメント)、両端固定梁、レベル2想定時は、両端固定梁、両端固定梁から両端塑性ヒンジ梁に移行、両端塑性梁とされています。一般的には、レベル1想定時は弾性域内に収まるものとし、レベル2想定時は固定部がヒンジ状態となっていると考えられています。下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)では、レベル1想定時は両端固定梁、レベル2想定時は両端塑性ヒンジ梁としています。

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■レベル1地震動を想定時には応力OUTとなるが、レベル2地震動想定時にOKとなる場合は、耐震性能を満足していると判断してよいか?

耐震対策の基本的な考え方として、重要な幹線の場合、レベル1地振動に対しては流下能力を確保し、レベル2地震動に対しては流下機能を確保することになっています。シールド管渠の場合は、『レベル1地震動に対して一次覆工の各部材が許容応力度を満足し、レベル2地震動に対してはリング継手部等の破断がなくリング間の目開き量が止水を修復可能な範囲内に抑えることが可能となるように設計する』(下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)P.15)となっていますので、レベル1、レベル2共にOKとなる必要があります。

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■鉛直断面の耐震検討時において、地盤バネが引張に作用する節点のバネを解除しなくてよいのでしょうか?

下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)で設定されているセグメント鉛直断面の解析モデルは、地盤の相対変位を強制変位としてセグメントに与えるかわりに、地盤バネの反力として両側から地震力を載荷しているため、引張バネは解除しません。

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■セグメントが基盤層内にある場合はどうすればよいのですか?

応答変位法による耐震検討では、地表面での応答変位を最大として深さ方向にCOSカーブで低減され、基盤層上面で”0”と仮定します。つまり、埋設管が表層地盤内に埋設されてなければ応答変位法による計算はできません。

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■表層地盤が均一な路線について耐震検討を行う場合、どの地点で検討すればよいですか?

応答変位法によるセグメント断面力は、地盤の水平方向及び鉛直方向変位振幅より求められます。セグメント軸方向の断面力は絶対変位より算定しますので地表面に最も近い地点で最大となります。一方、鉛直断面の断面力は管底部との相対変位により算定されますので、基盤層に最も近い地点で最大となります。但し表層地盤条件が異なれば各々検討する必要があります。

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■レベル1地震動を想定して検討を行う場合に、鋼材の許容応力度は1.5倍の割増を考慮するべきなのですか?それとも鋼材の降伏点とするべきなのですか?

鋼材の引張、圧縮に対する基本許容応力度は、厚さが16mm以下の鋼材の降伏点に対して安全率1.5として定められています。一方、地震時の許容応力度は割増率1.5で割増した値としますので、降伏点ということになります。下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)では、降伏点あるいは耐力がJISで規定されているものについては降伏点あるいは耐力を適用する考え方もあるとし、継手ボルトのみを降伏点あるいは耐力をあてはめています。

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■軸方向断面力の補正で、下水道協会耐震計算例による補正とはどのような補正なのですか?

下水道施設耐震計算例(日本下水道協会)による補正係数で、『国土交通省土木研究所:シールドトンネルの耐震性に関する研究(その1)シールドセグメントの等価剛性の評価および応答変位法の適用ー土木技術研究資料第2262号』を準用した軸方向断面力の補正係数です。
無限長のトンネルの場合、地盤変位の周期性よりセグメントに生じる軸力も周期性を有することになります。このことより固有周期L/2の区間内に引張域と圧縮域が存在し、引張剛性が圧縮剛性に比較して小さいシールドトンネルでは、それぞれ異なる変位量を示します。この異なる変位量を、引張剛性と圧縮剛性が単一とした場合の軸力を基本として補正するための軸力係数です。但し、この土木技術研究資料の補正係数は軸圧縮力から軸引張力を算定する場合の補正係数ですが、耐震計算例ではこの係数を軸引張力に対する補正係数としているため、全く異なるものであることに注意する必要があります。


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■軸方向断面力の補正で、土木学会による補正とはどのような補正なのですか?

『シールドトンネルの合理的耐震設計法ガイドライン(案)−社団法人土木学会関西支部』で用いられている軸方向断面力の低減係数です。地盤振動を受けた場合、トンネルと土の材料特性の差異によるせん断変形がトンネル周辺地盤に発生します。さらに地震振動が大きくなって周辺地盤に発生するせん断応力が限界値を超えると地盤とトンネルの間にはすべりが発生することになります。このすべりを考慮した軸方向断面力を算定するための低減係数のことです。
当ソフトでは、すべり開始限界せん断応力をトンネル周辺土のせん断強度としています。


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■フレームモデルで鉛直断面の解析を行った場合に、せん断力はギザギザにならないのですか?

セグメントに発生するせん断力がギザギザになるのは、断面力正方向の設定によるものです。通常セグメントに発生する断面力は、曲げモーメントはセグメント内側が引張となる方向、軸力は部材圧縮方向、せん断力はセグメント外側方向と内側方向の一対が正方向とされています。せん断力の正方向を同一方向として計算した場合は、一部材内に正と負が存在することになりギザギザの断面力図になります。
当ソフトにおけるせん断力の正方向は、外側方向と内側方向の一対としていますからギザギザにはなりません。


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■常時計算から耐震計算を行った場合、セグメントの深度や条件を変更するにはどうすればよいのでしょうか?

常時計算を行った後で耐震計算ボタンをクリックした場合は、常時計算で入力した項目(セグメンント部材条件、セグメントの埋設深度等)は変更不可の状態で耐震計算入力画面が開きます。これは、常時計算と耐震計算の整合を取る為に施している処理で、セグメント条件等を変更する場合は、常時計算から変更する必要があるからです。但し、1つの常時計算結果に対して複数の耐震検討を行う場合は、『初期設定』画面に戻っていただき、常時計算のチェックを外して『OK』ボタンをクリックして下さい。この様にして頂くと、変更不可であった項目が変更可能になった状態で耐震計算入力画面を開くことができます。

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